ピルが無料?海外での取り組みについて

皆さんはこのようなニュースを聞いたことがありますか?
フランス、25歳までの女性は避妊薬無料に(2021年9月10日日経新聞)
世界的にはこのような動きが見られています。フェムテックを推進していく中で、世界の動きも理解しておくことが重要だと思いますので、この点について解説していきます。

フランスでは、25歳未満の女性に対して避妊薬(ピル)を無償で提供する制度が話題となっています。この政策は、若者の避妊手段へのアクセスを改善し、望まない妊娠を防ぐための重要な取り組みとして注目されています。以下に、この制度について詳しく解説します。
なぜこの制度が導入されたのか?
フランスでは、性教育が進んでいるものの、若者の間で経済的理由により避妊薬の利用が難しいケースがありました。この問題を解決するため、政府は2013年に18歳未満を対象としたピルの無償提供を開始しました。そして2022年には、この対象年齢を25歳未満に引き上げ、さらに多くの若者が避妊手段を利用できるようにしました。
背景には、若年層における望まない妊娠が社会問題化している現状があります。この制度は、こうした問題を解消し、女性が自分の健康と生活をコントロールできる環境を整えることを目的としています。
この制度はどのように機能するのか?
- 対象者
- 25歳未満の女性が対象。
- 公的医療保険に加入している必要があります。
- 提供される内容
- ピルだけでなく、避妊パッチや避妊リングなどのホルモン避妊具も無償提供される場合があります。
- 利用方法
- 医師や薬剤師に相談し、適切な避妊方法を選択します。
- 処方箋を持参し、薬局で避妊薬を受け取ることができます。
- 費用負担
- 費用は全額政府が負担するため、利用者は一切の支払いが不要です。
制度の効果と目的
この政策には以下のような目的と効果があります。
望まない妊娠の防止
若者が経済的な理由で避妊薬を利用できない問題を解消することで、望まない妊娠の発生率が低下しました。フランス政府の報告によると、この政策導入後、若年層の中絶件数が減少しており、望まない妊娠を予防する効果が明確に表れています。また、避妊薬の利用が増えたことで、妊娠リスクを自己管理できる女性が増加しています。
健康管理の促進
ピルは妊娠予防だけでなく、月経痛や不規則な月経周期の改善、さらにはホルモンバランスを整える効果があります。特に若年層では、これらの健康問題が学校生活や仕事に支障をきたすことがあります。この政策により、ピルを手軽に利用できるようになったことで、健康状態の改善が報告されています。さらに、若者が医師と相談する機会が増えたことで、性教育や健康管理の意識向上にも寄与しています。
経済的不安の軽減
避妊にかかる経済的負担を完全に排除することで、低所得層の若者も平等に避妊手段を利用できるようになりました。フランスでは、ピルの費用が年間数千円から数万円に上る場合があり、経済的な理由で避妊を諦めるケースもありました。この制度により、こうした問題が解消され、経済的な理由で避妊を選択できないという状況が大幅に減少しました。
他国と比較すると?
フランス以外にも若者への避妊支援を行う国はありますが、25歳未満を対象にピルを無償提供する制度は非常に先進的です。
- イギリス
NHS(国民保健サービス)を通じて、年齢に関係なく無料でピルを処方。 - スウェーデン
一部地域で25歳以下の若者に低コストまたは無償で避妊具を提供。
こうした国々の取り組みと並び、フランスの政策は若者の健康と権利を尊重したモデルケースとして注目されています。
今後の課題は?
この制度は成功している一方で、以下の課題が指摘されています:
- 認知度の向上
制度の存在を知らない若者がまだ多く、さらなる広報活動が必要です。 - 医療機関との連携
医療従事者が若者に対して安心して相談できる環境を提供することが重要です。 - 年齢制限の見直し
25歳以上の女性への支援拡大も議論の余地があります。
まとめ
フランスの25歳未満へのピル無償提供制度は、若者の健康促進と望まない妊娠防止を目的とした画期的な取り組みです。この政策により、経済的な負担を気にせず避妊を選択できる環境が整い、多くの女性が自分の生活をより良い方向にコントロールできるようになっています。他国でも参考にすべきモデルとして、フランスの制度は今後ますます注目されるでしょう。
特にフランスでは事実婚が一般化しているために、婚姻の有無にかかわらず、多くのカップルが自由なライフスタイルを選択する中で、望まない妊娠を避ける手段が重要視されているのかもしれません。特に若年層では、結婚を考える前に恋愛やキャリアを優先する傾向が強く、避妊の必要性が高まっています。