生理の貧困について
生理の貧困について
「生理の貧困」とは、経済的な理由から生理用品を購入できない状態を指します。日本では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う収入減少などが影響し、この問題が顕在化しました。
厚生労働省の調査によれば、2020年2月以降、生理用品の購入や入手に苦労した経験がある女性は8.1%に上ります。その主な理由として、「自分の収入が少ないから」(37.7%)や「自分のために使えるお金が少ないから」(28.7%)が挙げられています。
このような状況を受け、各自治体や企業では、生理用品の無料提供や女性の健康に関するセミナーの開催など、支援策が進められています。例えば、企業のトイレに生理用品を設置する取り組みや、学校での無料配布などが行われています。
生理の貧困は、女性の健康や社会参加に影響を及ぼす深刻な問題です。その解決には、経済的支援だけでなく、生理に関する正しい知識の普及や、社会全体の理解と協力が求められています。
生理にかかる月々の費用計算
生理にかかる月々の費用は、使用する生理用品の種類や個人の状況によって異なります。以下に一般的な例を挙げます。
使い捨てナプキンの場合
- 1回の生理期間:5日間と仮定
- 1日の使用枚数:6枚(4時間ごとに交換)
- 1枚の価格:15円と仮定
この場合、1回の生理で使用するナプキンは30枚となり、費用は約450円です。月に1回の生理があるとすると、年間で約5,400円、40年間で約21万6,000円となります。
タンポンの場合:
- 1回の生理期間:5日間と仮定
- 1日の使用本数:4本(6時間ごとに交換)
- 1本の価格:22円と仮定
この場合、1回の生理で使用するタンポンは20本となり、費用は約440円です。月に1回の生理があるとすると、年間で約5,280円、40年間で約21万1,200円となります。
月経カップの場合:
- 購入価格:6,000円と仮定
- 使用期間:10年間
この場合、40年間で4回の購入が必要となり、合計費用は約24,000円です。月経カップは初期費用が高めですが、長期的には費用を抑えることができます。
これらの費用はあくまで一般的な例であり、個人の生理周期や経血量、使用する生理用品の種類やブランドによって変動します。また、生理痛緩和のための鎮痛剤や、サニタリーショーツなどの関連費用も考慮すると、総額はさらに増加する可能性があります。
生理の貧困がもたらす課題
生理の貧困が引き起こす影響
- 健康への影響:
- 不衛生な代替手段(古い布やティッシュなど)の使用による感染症リスク。
- 生理用品の不足による不快感やストレスの増加。
- 教育への影響:
- 学校に行けない、または授業中に集中できない。
- 生理が始まることで教育の継続を諦める例も報告されています。
- 社会参加への影響:
- 職場や公共の場での活動を避ける。
- 生理に関する偏見やタブーにより孤立感を深める。
日本における現状
- 新型コロナウイルスの影響で、収入減少や失業により問題が顕在化。
- 2020年以降、調査によれば日本の女性の約8%が生理用品の購入に困難を感じたとされています。
- 生理の貧困は特定の国や地域だけでなく、世界的な問題です。
取り組むべき課題
- 経済的支援の強化:
- 生理用品の非課税化。
- 低所得者層への助成や無料配布の拡充。
- 社会意識の向上:
- 生理に関する偏見を取り除き、オープンに話せる社会づくり。
- 教育現場やメディアを通じて生理の知識を普及。
- アクセスの改善:
- 学校や職場、公共施設での生理用品の無料提供。
- 再利用可能な月経カップや布ナプキンなどの普及。
- 当事者の声の尊重:
- 実際に困難を経験している女性たちの声を聞き、支援に活かす。
個々にできること
- 生理用品を寄付する。
- 生理の貧困について家族や友人と話し、問題への理解を広める。
- 再利用可能な生理用品を試し、選択肢を広げる。
- 困っている人に生理用品を渡すなど、小さな支援を行う。
未来への展望
生理の貧困は解決可能な社会課題です。公的支援と個々の努力が組み合わされば、女性が安心して日常生活を送れる環境が整備されていきます。経済的な困難だけでなく、生理に対する偏見や無理解を減らすことも、長期的な解決の鍵となります。